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2016年08月10日

世界初の上海へのヨット航海

今から約35年ほど前の1981年4月。まだ中国に自由に入国が出来ない頃でした。
私達沖縄のヨット仲間の有志達が
ヨットで沖縄から中国上海までの航海を計画し、普通では不可能な事でしたが大きな目的を掲げて中国と交渉した結果、入国が許可されました。
それは「鑑真和尚の道を遡る」と云うお題目でした。
世界初の上海へのヨット航海


世界初の上海へのヨット航海


そのヨットは「マリリンⅡ」33フィート約10mの愛知県で建造された堅牢なヨットで
オーナーは当時の南西航空と云う沖縄の航空会社のパイロットのM氏でした。
その方の友人でJALで働いていたS氏の大変な努力でそれは実現しました。
4月初めの那覇港小舟溜りから(今は埋め立てられています)、丸5日、途中時化も有り、今のようなGPSも無く、
当時で出来る限りの測位機器と緊急対応器具を装備し、M氏を中心にクルー7名で
当時の西銘県知事の親書を携え、マスコミや家族友人の見守る中出港したのです。
世界初の上海へのヨット航海


世界初の上海へのヨット航海


黒潮を横切り、中国大陸棚の上に入ると水深が段々浅くなり揚子江河口に着くと
水深20~30メートルに成ります。河口の花鳥島付近にあるパイロットステーションと
コンタクトを取り、道先案内(パイロット)が乗船し、その指示で浅く広い揚子江を
遡上し上海市のある支流の黄浦江を遡り有名な上海租界の岸に近いターミナル前で停泊
上海のマスコミや関係者多数の歓迎を受け、上陸、上海市の関係者との親書の交換や
取材に応じ、暫くの滞在の後再びここ沖縄まで帰国しました。
世界初の上海へのヨット航海


世界初の上海へのヨット航海


世界初の上海へのヨット航海


その後の事は色々ありますが、それはさておき、この時の中国との交渉をしていたS氏が数年前病で倒れました。
その年の暮れ、当時の関係者や友人(ほとんどが県外に居住)がその頃良く食べに行った
若狭の老舗寿司店「次郎長」に十数人も集まり、往時をしのび語り合ったのです。
ヨット「マリリン」のオーナーも既に鬼籍に入っていますので、ヨットの関係者は僅かしか居なかったようです。
翌日私の店にS氏と親しかった方々がいらっしゃって、その頃の事を楽しく語り合いました。
世界初の上海へのヨット航海


この沖縄から上海までのヨット単独の航海は、中国に近代ヨットで入国した
世界初の事だったのです。その後中国が民主化されて以後、何隻かのヨットが、
上海まで航海をしています。大きなヨットレースも行われましたし、
世界一周のヨットレースの一団も上海に入港しています。

余談ですが、ヨット「マリリン」は座間味島にもよく行き、座間味の方々には良く
知られた艇名だったのです。かつて映画にもなった白い犬の「マリリン」は
飼い主がこのヨットの名前から命名したとも聞いています。
また、今でも続いている「座間味レース」の総合優勝は珍しく「旗」なのですが
その優勝旗に縫い込まれている絵柄はこの「マリリン」の勇士なのです。

私もその後パンパシフィックヨットレースの上海スタートにエントリーした
「フォクシーレディー」に廻航メンバーとして同じ航路をたどり、
揚子江遡上と上海上陸を果たし、帰路は空路で帰国しました。

この写真は当時の8ミリ映像をビデオ化した記録の中から取りました。
ふと思い出し年月修正し再掲載いたしました。



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Posted by 鉄瓶・錆び鉄 at 18:14│Comments(1)ヨットと帆船と私
この記事へのコメント
柳生さん ご記憶にありますかどうか次郎長寿司で集まった翌日にお邪魔しました。。私は当時首里のホテルに勤務していましたが、上海航海に関与した1人です。都合で往路はエアで上海からの帰路乗船しました。生涯忘れられない想い出となっています。3年前に上海に行きました折、マリリンⅡを繋留した岸壁を訪ねました。Sさん、Mさんそして当時航空会社の上海駐在員でヨット受け入れを当局側と折衝してくれたNさんも早世され三人の方をしばし偲んだ次第です。素晴らしい記事にしていただき感謝致します。
Posted by 井上優篤 at 2016年08月12日 12:11
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